医療費49.2兆円、5年連続で過去最高|高齢化で変わる医療・介護・福祉の現場

厚生労働省が公表した2025年度の「医療費の動向」によると、医療機関に支払われた概算医療費は49.2兆円となり、前年度から1.3兆円、2.6%増加しました。5年連続で過去最高を更新しています。

概算医療費とは、医療機関から提出された診療報酬明細書(レセプト)などを基に集計した医療費です。国民医療費の約98%に相当する規模となっており、日本の医療を取り巻く状況を把握するうえで重要な統計といえます。

医療費が増えている背景とは

今回の統計で注目したいのは、受診する延べ日数が0.7%減少している一方、1日当たり医療費は3.3%増加している点です。

診療種類別では、入院が19.6兆円、入院外が16.5兆円、歯科が3.5兆円、調剤が8.8兆円となりました。なかでも調剤は前年度比3.9%増加し、1日当たり医療費も5.0%増えています。

また、医療費の伸び率2.6%のうち、高齢化による影響は0.6%と厚生労働省が推計しています。人口が減少傾向にあるなかでも、高齢化が医療費を押し上げる要因の一つになっていることが分かります。

高齢化で変わる医療・介護・福祉の役割

高齢化が進む社会では、病気を治療する医療だけでなく、退院後の生活を支える介護や福祉、在宅支援などの重要性も高まっています。

さらに医療現場では、限られた人材で質の高いサービスを提供することが求められています。医師や看護師だけでなく、薬剤師、リハビリ職、介護職、相談員など、さまざまな専門職が連携して利用者を支える体制が欠かせません。

そのため、今後は「必要な人材を採用すること」だけでなく、「職員が長く働ける組織をつくること」も重要な経営課題になります。

「採用」だけでは解決できない人材課題

医療・介護・福祉業界では、人材不足への対応が大きなテーマとなっています。

求人を掲載して応募を待つだけでは、採用競争が厳しい現在の環境に対応することは容易ではありません。求人内容の見直し、採用広報、応募後の対応、面接、入職後の定着までを一つの流れとして考える必要があります。

さらに、業務負担や職場内のコミュニケーションなど、「なぜ人が定着しないのか」を組織側から考える視点も重要です。

医療費49.2兆円という数字は、医療への需要が大きいことを示すだけではありません。これからの医療・介護・福祉を持続させるためには、サービスを提供する「人」と「組織」の両方を整えていくことが重要だと考えられます。

私たちも、採用支援にとどまらず、職場環境や組織づくりまで含めて、医療・介護・福祉の現場を支える取り組みを進めていきます。


出典

厚生労働省「令和7年度 医療費の動向-MEDIAS-」
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/25/index.html

厚生労働省「令和7年度 医療費の動向~概算医療費の集計結果~」
https://www.mhlw.go.jp/topics/medias/year/25/dl/iryouhi_data_gaiyo.pdf

読売新聞「医療費総額49・2兆円、5年連続で過去最高を更新」
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20260829-GYT1T00072/