医師・看護師の人材紹介手数料が年900億円規模に!病院の採用コストをどう考えるべきか

医師や看護師などの人材確保をめぐり、医療機関が負担する人材紹介手数料が大きな経営課題になっています。

報道によると、厚生労働省の調査では、2024年度に国内の人材紹介事業者へ支払われた手数料は、医師が283億円、看護職が598億円となり、合計881億円に達しました。医療現場の人手不足が続くなか、人材紹介サービスが採用を支える一方で、その費用が病院経営を圧迫するケースも出ています。

なぜ病院の採用コストが増えているのか

医療機関にとって、医師や看護師の確保は単純な人員補充ではありません。

特に看護師は、必要な配置数を確保できなければ、病棟運営や診療体制に影響する可能性があります。そのため、自院で応募者を集めることが難しい場合、人材紹介会社を利用してでも採用する必要が生じます。

一方、人材紹介では採用が決まった際に紹介手数料が発生します。

つまり、「採用できない」というリスクを避けるための費用が、「採用コスト」という別の経営課題につながる構造です。

人材紹介を使わないことが正解ではない

ここで重要なのは、人材紹介会社の利用を単純に減らせばよいという話ではありません。

急な欠員や専門職の採用など、外部の人材紹介サービスが有効な場面はあります。採用までの時間を短縮できることや、求職者との接点を持ちやすいこともメリットでしょう。

ただし、長期的に紹介会社への依存度が高い状態であれば、一度採用活動そのものを見直す必要があります。

「なぜ自院の求人には応募が集まらないのか」

この原因を把握しないまま紹介会社の利用だけを続けても、採用コストの改善は難しくなります。

病院が見直したい3つのポイント

まず確認したいのは、求人内容です。

仕事内容や給与だけではなく、勤務体制、教育制度、職場の雰囲気、キャリア形成など、求職者が知りたい情報を十分に伝えられているでしょうか?

次に、採用経路を確認します。

人材紹介だけに頼るのではなく、ハローワーク、自院ホームページ、求人媒体、採用広報、職員紹介など、自院に合った複数の採用チャネルを組み合わせることが重要です。

そして最後が、定着です。

せっかく採用しても短期間で退職すれば、再び採用活動が必要になります。採用人数だけを見るのではなく、入職後の定着率や退職理由まで確認することで、本当の採用コストが見えてきます。

「採用する」から「採用できる仕組み」へ

厚生労働省は、医療・介護・保育分野の有料職業紹介について、紹介手数料や採用後の離職状況を確認できる仕組みを整えています。また、ハローワークなど公的な職業紹介機能の強化も進められています。

今後の医療機関には、「どの人材紹介会社を利用するか」だけでなく、**「自院で応募を集め、採用し、定着させるには何を改善すべきか」**という視点が求められます。

人材紹介を必要な場面で活用しながら、自院の採用力そのものを高めていく。その両方を考えることが、採用コストと人手不足の改善につながります。

私たちは、求人内容の改善、採用広報、採用プロセスの見直しから、組織改善・定着支援まで、医療・介護・福祉の採用課題を一貫して支援しています。

「人材紹介を利用しているものの採用費が高い」「求人を出しても応募が集まらない」といった課題がある場合は、まず現在の採用活動を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

厚生労働省「職業紹介事業における職種別手数料、離職状況について」

厚生労働省「民間人材サービス事業者の育成等」