医師の残業削減へ!勤務医の長時間労働は改善できるのか?
医師の長時間労働を見直す「医師の働き方改革」が進められる中、勤務医の残業削減が改めて課題となっています。
厚生労働省は2026年7月、医師の働き方改革をさらに推進するため、有識者による検討会を設置しました。背景には、勤務医の長時間労働が依然として残っている実態があります。
勤務医の15%が年960時間超の残業
厚生労働省が公表した調査によると、2025年時点で、年間の時間外・休日労働が960時間を超える水準にある病院勤務医は15%でした。2022年と比較すると約6ポイント減少しているものの、一定数の医師が依然として長時間労働を続けていることが分かります。
医師の働き方改革では、2024年4月から勤務医の時間外・休日労働に上限規制が適用されています。一般的なA水準では年間960時間が上限となり、地域医療の確保など一定の要件を満たす場合には、特例として年間1860時間まで認められる仕組みです。
制度が始まったことで改善は進んでいるものの、「上限を守ること」だけでは十分とはいえません。医師が担っている業務そのものを見直し、限られた人材で医療を維持できる体制を整えることが重要になります。
業務分担が進まないことも課題
今回の調査では、医師の業務を看護師やその他の医療職などへ移す「タスク・シフト/シェア」についても課題が示されています。
医師の働き方を改善するには、単純に勤務時間を短くするだけでなく、医師でなければできない業務と、他職種へ移管できる業務を整理する必要があります。
例えば、書類作成や情報整理、患者・家族への説明補助などについて、適切な範囲で他職種が担える体制を整えれば、医師が診療や判断など専門性の高い業務に集中しやすくなります。
医師不足だけでなく「組織の仕組み」が問われる
医師の長時間労働は、個人の努力だけで解決できる問題ではありません。
業務量、当直体制、患者対応、会議、書類作成、職種間の役割分担など、組織全体の構造を見直す必要があります。厚生労働省も、医師が健康に働き続けられる環境を整えることは、医療の質や安全を確保し、持続可能な医療提供体制につながるとしています。
医療機関にとって今後重要になるのは、「医師を増やす」だけではなく、「医師の時間をどの業務に使うのか」を明確にすることです。
人材確保が難しい状況だからこそ、採用だけに依存せず、業務分担や職場環境、組織内コミュニケーションまで含めて改善する視点が求められます。
医師の働き方改革は、残業時間を減らすためだけの制度ではありません。医療従事者が長く働ける環境をつくり、患者に安定した医療を提供し続けるための組織改革として捉えることが重要です。
出典
・厚生労働省「令和8年度医師の働き方改革の推進等に関する検討会」 厚生労働省・検討会資料
・厚生労働省「医師の働き方改革を考える」 厚生労働省・医師の働き方改革
・厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」 厚生労働省・時間外労働の上限規制


