介護離職防止に生成AIを活用|仕事と介護の両立を支える企業の取り組み
親や家族の介護をしながら働く「ビジネスケアラー」が増える中、企業にとって介護離職防止と仕事・介護の両立支援は重要な経営課題になっています。
経済産業省によると、2030年には仕事をしながら家族の介護を行う人が約318万人に達し、介護に伴う労働生産性の低下などによる経済損失は約9兆円と試算されています。
こうした背景から、従業員の介護状況を把握し、必要な支援につなげる取り組みが広がっています。
生成AIで介護リスクを把握し、必要な支援へ
今回注目されているのが、生成AIを活用した介護支援です。
記事では、従業員へのアンケートを通じて介護の状況や制度への理解などを把握し、その情報を生成AIで分析するサービスが紹介されています。
分析結果をもとに、今後起こり得る課題や職場に伝えておくべきこと、心身の負担を軽減するための方法などを提示。必要に応じて、介護の専門家への相談や介護保険外サービスの利用につなげる仕組みも整えられています。
このような仕組みのポイントは、「介護が始まってから支援する」のではなく、早い段階でリスクを把握することにあります。
制度があっても利用できないという課題
企業が介護離職を防ぐうえで、制度を用意するだけでは十分とはいえません。
介護休業や介護休暇などの制度が存在していても、「職場に迷惑をかけたくない」「上司に相談しづらい」と考え、利用をためらう従業員もいます。
そこで重要になるのが、相談しやすい職場環境と、介護に直面する前からの情報提供です。
厚生労働省では、2025年4月から介護離職防止に向けた事業主の対応が強化され、介護両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備や、介護に直面した従業員への個別の周知・意向確認などが事業主に求められています。
企業に求められるのは「制度」から「仕組み」への転換
今後の介護離職防止では、制度を整備するだけでなく、従業員が安心して相談できる仕組みを組織として構築することが重要です。
例えば、定期的なアンケートによる状況把握、相談窓口の設置、管理職への研修、介護に関する情報提供などが考えられます。さらに、収集した情報を分析し、必要な支援につなげることで、個々の従業員に合わせた対応もしやすくなるでしょう。
生成AIは、そのための手段の一つです。ただし、介護に関する情報にはプライバシー性の高い内容も含まれるため、利用目的や情報管理、本人の同意などを適切に設計する必要があります。
介護離職防止は人材定着にもつながる
人材不足が続く中、経験を積んだ従業員が介護を理由に離職することは、企業にとって大きな損失となります。
だからこそ、採用だけに目を向けるのではなく、「働き続けられる組織をつくる」という視点が欠かせません。
介護と仕事を両立できる環境を整えることは、従業員本人を守るだけでなく、人材の定着や組織力の向上にもつながります。
これからの企業には、制度・相談体制・職場風土・デジタル技術を組み合わせながら、従業員が「気兼ねなく働ける」環境を継続的に整えていくことが求められます。
出典
厚生労働省「介護休業制度特設サイト」「育児・介護休業法について」 厚生労働省|介護休業制度特設サイト
経済産業省「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」 経済産業省|仕事と介護の両立支援に関するガイドライン
参考:読売新聞「介護離職防止へ生成AI活用、アンケート分析し『助言』『支援』適切に」


